スコット・ベッセント財務長官はクセ者?(1)

杉村富生 兜町ワールド

トランプ政権の中ではスコット・ベッセント財務長官が数少ない市場重視派である。この局面では彼の存在が大きい。マーケットに安心感を与えている。ただ、彼はジム・ロジャーズ氏を師と仰ぎ、ジョージ・ソロス氏のヘッジファンドに居たことがある。ソロス氏の投資哲学の「再帰性理論」を信奉している。

タフな人物である。為替、債券市場に強い。かつて、ウォール街では「静かな殺し屋」と呼ばれていた。対日交渉の相手としてはやっかいだ。為替(円高圧力)を絡めてくるのは間違いない。お父さんはトランプ大統領と同様、不動産業を営んでいた。浮き沈みの激しい業界である。

日銀には「金融正常化のスピードが遅すぎる」と主張するだろう。日銀は430日~51日の金融政策決定会合において、想定外の利上げに進む可能性がある。これは政策ミスにつながるだろう。

昨年8月がそうだったじゃないか。日銀の独立性はなきに等しい。政府におもねるばかりだ。今回の相手はトランプ政権である。国内事情が配慮されることはないだろう。円高を求めてくるのは間違いない。日本政府はそれを受ける。

ちなみに、日銀短観によると、主力企業の想定為替レートは1ドル=14830銭、1ユーロ=16022銭となっている。輸出企業にとって、現在の為替水準はダメージが大きいと思う。輸出関連セクターは手掛けづらい。SMN(6185)、スマートバリュー(9417)は好業績に加え、思惑妙味がある。

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