相変わらず、世界金融マーケットはトランプ政権の外交・通商政策に振り回されている。関税を武器とする棍棒外交である。国際的にはメチャクチャな手法だが、「その日、その日の出来心」によって、方針が変わる。それだけに、始末が悪い。ドナルド・トランプ大統領が気にしているのは為替、株式、債券市場の動きだろう。
先週はドル安、株安、債券安(金利上昇)のトリプル安になった。これにはさすがに、ビビッたのではないか。なにしろ、この3カ月間にアメリカ市場の時価総額は1500兆円が消え、マグニフィセント・セブンの時価総額はアップル(AAPL)、エヌビディア(NVDA)を中心に、845兆円が吹っ飛んだ。これは困る。
改めて述べるまでもない。アメリカは株式資本主義の国だ。個人金融資産の54%が株式・投信、25%が保険となっている。株価暴落は家計を直撃する。老後生活計画が狂う。確定拠出型年金「401Kプラン」(会社側負担を含む)の年間拠出額の上限は年間6万9000ドル(約1000万円)だ。日本は66万円にすぎない。ケタが違う。
ドル安政策は危険だ。国際マネーはドルを売る。株式を売る。2025年1月末の米国債の保有額をみると、日本が157兆円、中国が110兆円、イギリスが107兆円(上位3ヵ国)だ。中国が大幅に減っている。ドル債を売って、金(ゴールド)に替えた、といわれている。関税闘争が激化すると、ドル債売却を切り札に使うだろう。
日本にはそんな度量はない。為替(円高)、農産物など譲歩ばっかりだ。結局、日銀は利上げに進むだろう。円高である。この局面は好業績かつ内需関連のNTTデータグループ(9613)、コスモス薬品(3349)、ミダックホールディングス(6564)、森永乳業(2264)、ゼンショーホールディングス(7550)などを攻める作戦が有効と判断する。
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