トランプ政権が始動!北米に強い企業を!(3)

杉村富生 兜町ワールド

サプライチェーンを西側陣営だけで完結させるフレンド・ショアリングの視点では造船が次の課題だろう。かつて、19601970年代に、「鬼の佐野安、地獄の名村、情け知らずの藤永田」と言われたそうだが、いまその面影はまったくない。造船業が「世界一」だった時代である。超繁忙、過酷な労働条件を物語っている。

この言葉は「どうせ死ぬなら中山製鋼」と続いている。造船業では名村造船所(7014)だけが残った。サノヤスホールディングス(7022)は祖業の造船事業を売却した。藤永田造船は三井E&S(7003)に吸収されている。三井E&Sはアメリカが中国製を排除している港湾クレーンの世界トップ企業である。

日本の場合、貿易の99.6%を海上輸送に頼っている、という。その造船業は中国が世界を席巻中だ。アメリカはこの事態に危機感を強めている。パナマ運河騒動(管理権を狙う)はこの延長線上にある。

トランプ政権は原油・天然ガスの開発を加速する。三井海洋開発(6269)は「脱炭素」の流れを受け、石油メジャーの海洋開発が活発になろう。なにしろ、メキシコ湾をアメリカ湾に改称したい、と主張する人物の登場だ。もちろん、日本だって、メタンハイドレート、レアメタルなどの海洋開発を急ぐ必要があろう。

このほか、アメリカ市場での売上高が高い企業にはキッコーマン(2801)、東洋水産(2875)、任天堂(7974)、オリンパス(7733)、トプコン(7732)、フジクラ(5803)、ペプチドリーム(4587)、味の素(2802)、トヨタ自動車(7203)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などがある。

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