常に、“流れ”に背を向ける人がいる。これはAI(人工知能)だけではない。「続く流れに逆らうな」というのに。相場についていけない投資家が存在する。日経平均株価は先週末に、4万円の大台を奪回した。いよいよ、昨年7月11日の史上最高値4万2426円挑戦が視野に入りつつある。
しかし、専門家と称する人達は意外に弱気だ。彼らは「テクニカル的に正念場に接近」とか、「ごく一握りの銘柄だけが買われる現象は危険」と解説する。今年4月以降の上昇相場は最終局面を迎えている、ということか。とはいえ、タツモ(6266)は強い。レーザーテック(6920)、東京エレクトロン(8035)は商いを伴って急騰している。
確かに、昨年夏~秋には日経平均株価が瞬間3万1156円まで暴落するなど、大波乱に陥った。この局面では日銀の突然の利上げ、石破茂氏の有価証券取引税率に関する課税強化発言などがイヤ気されたものだ。完全な政策ミスである。これがトラウマになっている面はあろう。
ただ、トランプ関税は今年4月の日経平均株価の3万0792円が「最悪」だったし、経済分断を背景に、日本市場には国際マネーの流入が起こっている。外国人は4月第1週~6月第3週に、13週連続の買い越し(現物)をみせている。この間の買い越し額は実に、4兆606億円に達する。
外国人が注目しているのは日本企業の経営改革(親子上場の是正、持ち合い解消)に加え、株主還元姿勢の強化(増配、自社株買い)だ。さらに、AIを軸とする第4次産業革命の進展を受け、半導体、データセンター、AIソリューション、AIエージェント、光ファイバーなど新しい成長企業が次々に登場している。
10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
毎週火曜日になります。