アメリカとイランの軍事衝突の株式市場に対する影響は「軽微」にとどまっている。日本市場では23日の日経平均株価がわずか49円安、為替は1ドル=146円台の円安だ。週明けのエジプト市場は大幅反発である。イランは「ホルムズ海峡を封鎖する」と息巻いているが、そうなった場合は日本が大きなダメージを受けるだろう。
なにしろ、日本の原油輸入の86%はホルムズ海峡経由だ。ただし、中国も同様に打撃を受ける。それに、アメリカ、イスラエルはまったくホルムズ海峡に関係がない。逆に、サウジアラビア、イラク、クウェート、UAE、カタールなど「親イラン派」の国々を遠ざける結果になる。実際、24日の日経平均株価は大幅高である。
古い話だが、南北戦争は1861~1865年に展開された。双方の死者は61万人にのぼり、第二次世界大戦の死者を大幅に上回っている。これが内戦の怖さである。それと、同時に終戦によって余った兵器(最新鋭の銃、軍艦など)が幕末の日本(薩摩、長州)に持ち込まれた事実を多くの人が忘れている、と思う。
シェールガス関連のクリヤマホールディングス(3355)、仕手妙味が膨らむ住友ファーマ(4506)、三菱重工業が筆頭株主の菱友システムズ(4685)、ブラックロック(BLK)が大株主に登場したENEOSホールディングス(5020)、小型衛星(軍事・気象用)のQPS研究所(5595)などに妙味があろう。
さて、AI(人工知能)は本格的な普及期を迎えている。メタ・プラットフォームズ(META)がAI企業のスケールAIに143億ドル(約2兆900億円)を投資、とのニュースにはビックリだ。巨大IT企業は「お金持ち」である。成長を維持し、他社を圧倒するためには資金を惜しまない。M&Aを推進する。
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