トランプ関税は結果的に、関税に守られた高コスト体質、低生産性の国(アメリカ)と自由貿易経済圏の国々(欧州、アジア、日本など)に分断される、と主張している。いわゆる、デカップリング(経済分断)である。軍事面ではアメリカには頼れない。特に、ドイツなどEU(欧州連合)は「自分の国で守る」戦略を鮮明に打ち出している。
ドイツは防衛費をGDPの3.5%にするとともに、別途に軍事用インフラ(橋、道路、空港)にGDPの1.5%を投じる、という。さらに、ドイツ軍の海外駐留を開始した。時代は変わった。これまでドイツは財政規律が厳しいことで知られていたが、それを捨てたのだ。ロシアのウクライナ侵攻、トランプ政権の発足が衝撃を与えたのだろう。
最終的には2大経済圏に対抗しようとしているBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の創設メンバーに加え、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピア、インドネシアが加わり加盟国は10カ国)が存在する。多くが強権国家の複合経済である。
パートナー国にはアルジェリア、ウガンダ、ウズベキスタン、カザフスタン、キューバ、タイ、トルコ、ナイジェリア、ベトナム、ベラルーシ、ボリビア、マレーシアの12カ国が参加している。7月6日にはブラジルにおいて、首脳会議を開催する。トランプ関税に対する対応とともに、ドルに代わる決済通貨システムが議題となろう。
トランプ政府は同盟国をないがしろにしているが、アメリカはドルの基軸通貨体制を守るとともに、西側先進国の団結が必要と思う。防衛関連の日本アビオニクス(6946)はミサイルなどシステム分野に強い。主要顧客は三菱重工業(7011)、NEC(6701)となっている。
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