まあ、「お金は酷使すると、逃げる」との教え(格言)は承知している。十分に研究を重ね、丁寧に運用すれば良い。中堅防衛関連の日本アビオニクス(6946)、東京計器(7721)、新型太陽光パネルのペロブスカイトを量産する積水化学工業(4204)は引き続き、2025年に人気化が期待できる。
まさに、歴史的には「政治は経済を超える」。アメリカは1982年夏(NYダウは8月12日に776ドルの安値)の「株式の死」(ウォール街が「2度と活気を取り戻すことはないだろう」といわれた時代)を経て、完全に復活を遂げた。いわゆる、「偉大なアメリカの再構築戦略」の成果である。
1981年1月就任のレーガン大統領は、俳優時代は「売れない三文役者」だったが、彼は経済の根幹を成すものは企業、との認識を持っていた。「昔のような強いアメリカを取り戻すには企業の再生が不可欠だ」との認識である。このため、税制・保険改革など企業の負担を軽減する施策を行う。
さらに、5つの潮流だ。これが成長戦略である。特に、ディファクトス・タンダード(事実上の国際標準)の獲得、インフォメーションテクノロジー(IT)革命、ベンチャーダイナミズムの波の喚起、ディレギュレーションの断行は効果があった。「技術革新」が国家の成長を加速する、との考えはトランプ2次政権に受け継がれている。
トランプ2次政権はAI(人工知能)、宇宙開発、自動運転(タクシー)、暗号資産、量子コンピュータなどの分野では世界覇権を狙っている。事実上の国際標準を獲得し、収益をごっそり頂こうとの作戦だ。すでに、データセンターなどクラウドシステムはそうなっている(日本はアメリカに6兆円の支払い超)ではないか。
日本には成長戦略が欠けている。ソフトバンクグループ(9984)はアメリカに10兆ドル(約1500円兆円)を投資するが、この金額では東証プライム市場(1643社上場、時価総額950兆円)をそっくり買える。お金はみんなアメリカに流れる。マサチューセッツ工科大学は「学費免除」をエサに、優秀な人材を取り込もうとしている。
(杉村富生の兜町ワールドは経済や株式情報の解説を分かりやすく行なっています)