年末を迎えている。今週はクリスマス休暇がある。外国人は多くが休みだろう。国内勢だってそうだ。今年の勝負は終わっている。出社しているファンドマネージャーの仕事は敗戦処理(ポートフォリオの組み替え)が中心と思う。新規のポジションは取りづらい。本格的に動き出すのは1月第2週以降になろう。
この局面での投資戦術は難しい。暦の関係で長い正月休みが控えている。「10連休」の人もあろう。反面、海外市場は開いているだけに、リスクを避けよう、との姿勢が強まる。昔は 「株をマクラに越年を」といわれたものだが、最近は「金をマクラに寝正月」になっている。まあ、世の中は段々と物騒になりつつある。
強い銘柄を攻める、という投資の定石に従えば好業績の三機工業(1961)、ラーメン店の丸千代山岡家(3399)、ドン・キホーテのパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)などが狙い目だろう。フジクラ(5803)、フジテック(6406)、能美防災(6744)、エクセディ(7278)は逆行高だ。やはり、要注目である。
エクセディは主要大株主のアイシン(7259)が持ち株をすべて処分した直後に、アクティビストが介入してきた。安定株主が消え、「経営権奪取」が見込める、と判断したのだろうか。日産自動車(7201)はホンダ(7267)に助けを求めた形だが、外資(2社)が本気で買収しようとしていた。台湾勢はパリ(ルノー?)に出向いた、という。
青山財産ネットワークス(8929)は複数のアクティビストが玉を集めている。会社側は焦りまくっているらしい。ここでの株価急騰の過程でも個人株主が激減したという。安定株主はそもそもいない。資本関係では「第2の開国」だ。日本企業は“小粒”の企業が多い。このため、外資にひと飲みされる可能性がある。
日本企業の時価総額は相対的に小さい。トップはトヨタ自動車(7203)だが、時価総額は43兆円にすぎない。いや、日本では大企業だ。しかし、テスラ(TSLA→236兆円)の5分の1以下である。いやはや、情けない話じゃないか。これでは日本企業はみんな狙われる?その通りだろう。
(杉村富生の兜町ワールドは経済や株式情報の解説を分かりやすく行なっています)