出来高(売買代金)は株価に先行する。商いを伴っての上昇は強い。参加者が多いということだ。流動性の高さは機関投資家には必須条件となる。「買えない、売れない」では何ともならない。その点では三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)のフィーバーはテーマ(防衛関連)性以上に魅力を感じる。
三菱商事(8058)、三井物産(8031)、伊藤忠商事(8001)も連日の大商いだ。ご存知、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK-A)系のナショナル・インデムニティー・カンパニーが買い増しを行っている。買い余力を残しているのは伊藤忠商事、住友商事(8053)だろう。
大商いといえば3月19日上場のJX金属(5016)もそうだ。前人気は不評だった。ENEOSホールディングス(5020)の5億3493万株の売り出し(価格820円)によるIPOは典型的な「出口案件」である。この種の「出口案件」は嫌われる。しかし、超大物のIPOはちょっと違う。キオクシアホールディングス(285A)が好例じゃないか。
キオクシアホールディングスは昨年12月8日に上場した。公募価格は1440円だったが、初値は1455円にとどまった。それが今年3月18日には3250円の高値まで買われた。初値比2.3倍である。多くの投資家が公募・売り出し株数の約40%を外国人が持っていたことを知らなかった。需給は“良”だったのである。
東京地下鉄(9023)は2024年10月23日に上場した。「地下鉄なんて、成長性に欠ける」といわれたが…。直近高値は1997円(3月24日)だ。公募価格比1.6倍になっている。配当は40円だし、首都圏の10路線は社会インフラの要だ。駅ナカの活用、遊休地の活用が始まっている。以外に成長株じゃないか。
2024年10月29日(火)に『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まっています。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
毎週火曜日になります。内外の相場環境、流れを詳しく解説しています。好評です。