ついに、トランプ砲が暴発?景気失速?(1)

杉村富生 兜町ワールド

11日のアメリカ市場は大幅安である。NYダウが890ドル(2.08%)安、ナスダック指数が727ポイント(4.00%)安と暴落に近い。市場心理が急速に冷え込んでいる。トランプ大統領の「大きな仕事をしており、景気悪化はやむを得ない」とのコメント(テレビインタビュー)をイヤ気したものだろう。

トランプ政権の関税を武器とする棍棒外交は世界経済を萎縮させる。これは分かり切ったことだ。アメリカのマスコミはこの点について、論評を控えている。恐らく、ハネムーン期間(大統領就任後、100日間は批判をしない)に配慮しているのだろう。しかし、4月以降は厳しい意見が出てくるのは間違いない。株価は荒れる。

ただ、トランプ政権の閣僚は「お金持ち」ばかりだ。みんな大株主だ。株安を望んでいない、と思う。実際、株価動向を見ながら激しい言動(政策)は微妙に修正されている。すなわち、現実的な対応である。その動きに期待したい。いずれにせよ、この局面は突っ込み買い方針が有効である。

トランプ政権のターゲットは中国だろう。パナマ運河は太平洋側、大西洋側の2港(バルボア湾、クリストバル港)の運営権を香港系企業(CKハチソン・ホールディングス)が持っている。この権利をブラックロック系の企業連合が買収する。「パナマ運河は中国のもの」とのトランプ大統領の批判にパナマ政府が応えた格好である。

グリーンランドの買収計画は同じ構図といえる。軍事的な要衝(アメリカは軍事・宇宙基地を保有)だが、中国が関与を強めている。中国はレアメタルの権益を狙っているようだが、アメリカは容認できない。「一帯一路」構想をベースに巨額の融資を実施、返済が滞ると、権益を奪う。戦前の帝国主義(植民地支配)と同じではないか。

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