池波正太郎先生の『剣客商売』の主人公の秋山小兵衛は無外流の達人である。強い。当代随一だ。あるとき、江戸の豪商が「先生は強いそうですね」と問うと、「いや、長く続けてきただけのこと」と答える。これが名人といえるだろう。無我の境地に近い。投資の世界では「名人は相場の怖さを知る」という。
株式市場は荒れ模様の展開だ。暴落、反発と忙しい。3月決算期末を控えているだけに、やむを得ない面がある。機関投資家の債券損失穴埋めの売り、政策投資の売り(持ち合い解消)、ファンドの解約に伴う売りなどが重なっている。株式需給は悪い。しかし、先物主導だ。変わり身が速い。すぐに、買い戻しが入る。
それに、アクティビスト、ヘッジファンドはボラティリティの高さを利用する。いや、投機筋はみんなそうだ。短期・順張りは買いだけではない。もっとも、今回のプット売りは全滅したと思う。口銭目当てのオプションの売りは恐ろしい。インデックスが持ち合いを下に放たれた場合、命取りになる。信用取引(カラ売り)も同じだろう。
筆者は20歳のときに相場解析・銘柄発掘を始めた。約56年になる。いや~、「長くやってきただけのこと」と言えるようになりたいものだが、名人の領域にはとても到達できない。相場は難しい。エコナックホールディングス(3521)は旧日本レースだ。2025年3月期は56年ぶりに5円復配に進む。“同級生”のような気がする。
JALCOホールディングス(6625)の配当は18円(2025年3月期)、タスキホールディングス(166A)の配当は35円(2025年9月期)だ。時価の配当利回りはJALCOホールディングスが5.8%、スキホールディングスが5.2%と高い。ジョージ・ソロス氏いわく、「株価は正常ではない」ということだろう。
3月20日(木曜)にラジオNIKKEI開局70周年記念セミナー「MARKET WAVE」 のイベントを開催します。会場はTOC有明 コンベンションホール(東京)になります。筆者(杉村富生)の登壇時間は15時35分~16時40分です。入場は無料、ぜひご参加を。2025年の相場展望、および活躍期待株について解説します。https://www.radionikkei.jp/marketwave/250320.html