強まる円高圧力が日本株の重荷になる?

杉村富生 兜町ワールド

アメリカの今回の関税引き上げがメキシコをターゲットにした、との推測には裏付けがあるのだろう。とはいえ、カナダ、アメリカ、メキシコには関税ゼロの3カ国による「米国・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)が存在する。この取り決め(国際条約)はどうするのだろうか。いずれにせよ、当面は個別物色の展開だろう。

為替が先週、1ドル=14970銭と円高に振れた。アメリカの10年物国債利回りが低下(4.180%)、日銀は1819日の日銀金融政策決定会合において、0.25%の利上げに進むだろう。財務長官に就任予定のスコット・ベセント氏は投資家(ファンド運用)だ。財政規律派である。

このため、債券市場では「政府効率省」トップのイーロン・マスク氏とともに、トランプ次期政権の「無秩序な財政膨張に歯止めをかけてくれるのではないか」と期待されている。これがここでの金利低下の要因だ。1718日のFOMCでの利下げの確率については「55分」とみられている。

ともあれ、日本市場は内外の機関投資家のファンドマネージャーがクリスマス休暇に入っていることに加え、トランプ次期政権の通商政策が不透明なため、積極的に動けない。ヘッジファンドは11月決算を締めたばかりだ。年金などは12月決算期末を迎える。やはり、新規のポジションは取りづらいと思う。

したがって、当面は個別物色の展開だろう。強いライフネット生命保険(7157)は狙える。値動き抜群の精工技研(6834)、高値圏のみずほフィナンシャルグループ(8411)、PBR0.80倍の野村ホールディングス(8604)に注目できる。好業績、かつ材料豊富、70円配当のポエック(9264)に妙味があろう。

10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

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