ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領の行動(発言)に、マーケットは振り回されている。就任するのは来年1月20日だというのに。そのまま実施できるとは思えないが、彼の政策はメチャクチャなだけに怖い。もちろん、ディール(取引・交渉の道具)、ブラフ(脅し)の面はあろう。
しかし、カナダ、メキシコの輸入製品に25%、中国製品には10%の関税上乗せはひどい。カナダ、アメリカ、メキシコには関税ゼロの3カ国による「米国・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)がある。この関税構想は明らかな国際法違反だ。まあ、トランプ氏にとっては「そんなもの」といった感覚だろうが…。
なにしろ、アメリカ・ファーストである。アメリカが正義との考えだ。メキシコは輸出の83%、カナダは75%がアメリカ向けだ。カナダはアメリカにとって、重要な国である。関税25%では輸出は壊滅的なダメージを被るだろう。まあ、ここは影響の少ないペプチドリーム(4587)、野村総合研究所(4307)に妙味がある。
日本勢は日産自動車(7201)、トヨタ自動車(7203)などを中心に多くの企業がメキシコに進出、対米輸出の拠点にしている。最近は中国企業の工業建設が相次いでいた。そこを狙い撃ちにしたのだ、との見方ができる。ただ、当たり前だが日本企業はとばっちりを受ける。
株式市場は「トランプ劇場」の開幕に身構え、脅え始めている。なにしろ、歯止めをかけるべき議会は上院、下院ともに共和党だし、頼みの連邦裁判所の判事(9人)は6人が共和党系だ。これではトランプ暴走列車を誰も止められない。救いは共和党の良識派の先生方にある。20~30人はいると思う。
ちなみに、上院の定員は100人、下院は435人だ。過半数を共和党が占めているとはいえ、その差はわずか。2~3人の“反対“で上院は否決できる。大統領令の乱発はあろうが…。いずれにせよ、12月相場は波乱含みである。ここは引き続いて総論を語らず、各論勝負が有効と判断する。