短期間に5~9倍になった銘柄の行方は…?

杉村富生 兜町ワールド

古来、「株価は天には届かず、地には落ちる」という。まさか、株価はゼロにはならない(倒産価格だって、最終は1円)が、上がった銘柄は、いつかは下がる。それが相場である。上下波動を繰り返すものだ。それを「株価は上がり続ける」と勘違いをする人がいる。この1011月の相場がそうだった、と思う。

日経平均株価は一気に、5万円の大台に乗せ、「さあ、次は6万円挑戦だ」との声が高まっていた。日経平均株価の安値(ザラバベース)は47日の30792円だ。それが114日には52636円の史上最高値まで駆け上がった。実に、上昇幅は21844円、上昇率は70.9%に達する。

トランプ関税に関してはTACOトレードと形容されるように、各国との合意が相次いで成立、日本は高市早苗首相が登場し、日本再生第2幕(サナエノミクス)の開演に対する期待が高まった。ただ、集中物色されたのはAI(人工知能)関連の銘柄ばかり。すなわち、半導体、データセンター、レアメタル関連である。

たとえば、安値~高値をみると、フジクラ(5803)は3592円が21680円(6.03倍)、アドバンテスト(6857)は4703→23675円(5.03倍)、キオクシアホールディングス(285A)は1510→14405円(9.54倍)、ソフトバンクグループ(9984)は5730→27695円(4.83倍)といったフィーバーを演じている。

ソフトバンクグループは上昇率が「穏やか」と思えるほど。いずれにせよ、急騰したあと、チャート的に大陰線を入れている。この足形は天井形成のパターンである。短期間に、前の高値を奪回できるか、否か。それによって調整期間は決まる。とりあえず、19日のエヌビディア(NVDA)の決算発表が焦点となろう。

2024年1029日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は

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