この相場を何と、表現すべきなのか?

杉村富生 兜町ワールド

この相場を何と、表現したら良いのだろうか。ベテラン営業員が「こんなのは経験がない」と嘆いている。1029日の日経平均株価は1088円高の51307円だったが、東証プライム市場の値上がりはわずか200銘柄にすぎず、値下がりは1394にのぼった。TOPIX7ポイント安だ。ほぼ全面安値商状である。

アドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)などごく一握りの銘柄だけが買われている。反面、その他大勢組はジリ安だ。日経平均株価だけが上昇する。これはアメリカ市場も同じである。エヌビディア(NVDA)の時価総額は5兆ドルに乗せた。この銘柄を持っていないと、運用競争に負ける。

だから買う。売るに売れない。したがって、需給は常に、タイトになる。マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)も同じ感覚だ。オープンAIIPO(新規公開)の準備を始めたそうだが、周辺銘柄のマイクロン・テクノロジー(MU)、コアウィーブ(CRWV)、ブロードコム(AVGO)が一段と人気化するだろう。

ソフトバンクグループはオープンAI6兆円、エヌビディア(NVDA)は15兆円、マイクロソフトは2兆円出資している。オラクル(ORCL)はソフトバンクグループ、オープンAIともに、データセンター分野(シーゲート・プロジェクト→総投資額75兆円)で連携している。

この相関図に、アドバンテスト、日立製作所(6501)、富士通(6702)、安川電機(6506)、NEC(6701)、インテル(INTC)が絡む。エヌビディアは日立製作所と電力供給、データセンター事業で提携、富士通、安川電機とはフィジカルAI(人工知能とロボティクスの融合)分野での連携を強めている。ロボット開発である。

2024年1029日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は

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