そう、割安な銘柄はみんな狙われる。東証改革が叫ばれているにもかかわらず、PBR1倍割れの企業がプライム市場に34.9%ある。これは資本効率の悪さを意味し、アクティビストにつけ入るスキを与える。それと、企業は個人株主をもっと大切にし、長期間保有の“援軍”を増やし、守りを固めるべきではないか。
なにしろ、東京のマンション(麻布台ヒルズ森JPタワー→64階建て)の最上階(1500平方メートル)のワンフロアが売り出され、2億ドル→300億円と高額だったのに、それが“即完”(買ったのはシンガポールの金持ち)になる時代である。三井不動産(8801)など、土地・建物の含み益の大きい企業は狙われる。
講演会などで「日本人はすっかり貧乏になった」と切り出すと、怒り出す人がいる。まあ、ネガティブな話はみんな嫌う。しかし、これが現実だ。アメリカ市場には時価総額3兆ドル超の企業が3社ある。すなわち、エヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)である。
その3社の時価総額は1800兆円を超えている。東証プライム市場の約2倍のスケールだ。都内には月家賃600~700万円のマンション(1部屋)が複数案件ある。すべて埋まっている。これを借りている人達って?まあ、知らない方が良い。多くの人々が「頭にくる」と怒り出すのだ。せめて、株式投資でコツコツと稼ごうじゃないか。
首都機能分散の流れに乗るきんでん(1944)、大林組(1802)などに注目できる。関西は万博が終わったあと、2030年のIR(統合型リゾート)プロジェクトまでイベント的には空白になる。それを埋めるのは新首都構想である。維新の会の主張は通りやすいと思う。
2024年10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
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