100年続く?投資の時代に備える!(5)

杉村富生 兜町ワールド

株主総会での突然の協調だけに、会社側は対応が遅れる。ちなみに、昨年には外資による買収提案を受けた日本企業が193社あった。今年は前半だけで157件だ。確かに、企業買収案件は増えている。加えて、皮肉なことに持ち合い解消が買収を容易にしている面がある。

買収提案がすべて買収までいくとは限らないが、昨年の上場廃止企業(94社)の多くがかつてのように倒産によるものではなく、MBO(経営陣、大株主による買収)、TOB(株式公開買い付け)だと思われる。繰り返しになるが、持ち合い解消によって、有力株主が消え、買収を可能にする。

なにしろ、「失われた30年」の間に、日本はすっかり貧乏になってしまった。個人金融資産のうち、現・預金が5割強(アメリカは12%)の国だ。個人金融資産は日本の2239兆円に対し、アメリカは2京円を超えている。しかし、そう悲観することはない。時代は変わりつつある。

明治以来の貯蓄奨励政策はマル優(少額貯蓄非課税制度)の廃止とともに終わっている。すなわち、投資の時代だ。政府の支援もある。NISA(少額投資非課税制度)、新NISAが好例だろう。外資はこのチャンスを見逃さない。すでに、AIストーム(3719)、データセクション(390)は東南アジア系外資の傘下となっている。

FA機器中堅の北川精機(6327)はアクティビストの保有比率が17%に達している。 ニコン(7731)、富士急行(9010)、JX金属(5016)、アニコム ホールディングス(8715)、ローム(6963)だって値動きが怪しい。ニコンは欧州のメガネ屋さんが買っている。買収に発展する可能性を否定できないだろう。

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