9~10月相場は荒れる、という。これは兜町のアノマリー(説明のつかない不思議な出来事)である。確かに、昨年8~9月は暴落に見舞われた。しかし、日銀の突然の利上げ、および次期首相候補(現在の石破首相)の不用意な発言(有価証券売益課税20%は安すぎる)があった昨年とは今年は違う。
株式市場は打たれ強くなっている。実際、個別物色機運は極めて旺盛だ。特に、個人は高値圏を売りまくっただけに、資金的に余裕がある。東京電力ホールディングス(9501)が異彩高を演じている。再三指摘しているように、国策会社(政府系ファンドが優先株を含め、発行株式数の76%を保有)である。
経営リスクは乏しい。逆に、福島原発の廃炉(実に、40年を要する)、賠償費用をまかなうために、利益を積み上げる必要がある。さらに、首都圏4500万人、データセンターなどに対する電力供給の責務をピックアップできる。鉄道は電気で動いている。その切り札は原発再稼働だろう。
このほか、富士急行(9010)、JX金属(5016)、井関農機(6310)、大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)が強い。逆行高の銘柄を狙うのは株式投資のセオリーである。JX金属は電子材料に加え、銅を手掛けている。「カッパーくん」というカッパが出てくるテレビコマーシャルが話題になった。カッパーとは銅のこと。
SMN(6185)がキナ臭い。玉集めの動きがみられる。筆頭株主はソニーネツトコミュニケーションズ、発行株式数の53.1%を保有している。読売新聞が第2位の大株主だ。72万株を持ち、読売新聞の買い値は569円という。とりあえず、この水準が上値のメドとなろう。
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