FRBの責務は雇用の確保と物価の安定にある!(1)

杉村富生 兜町ワールド

FRBの責務は雇用の確保と物価の安定にある。雇用面では景気が重要なファクターになる。アメリカ景気は明らかにおかしい。個人消費がさえず、建設・住宅投資は落ち込みが激しい。高金利がダメージを与えている。FRBは6月に利下げに踏み切るべきだった、と思う。FRB理事はパウエル議長をはじめ、判断ミスを繰り返している。

ドナルド・トランプ大統領ではないが、パウエル議長は「先が読めず、すべてに遅すぎる男」と批判されている。まさに、その通りである。ジャクソンホール会合では明確な利下げを主張しなかった。表現は「ケアフル」(慎重に)だ。91日に、スコット・ベッセント財務長官は次期FRB議長候補者と面談を行う、という。

ベッセント財務長官は人選の目安として4条件を挙げている。すなわち、市場の信認を得られる、深い経済分析力、FRBの管理能力、先を読む力である。いずれにせよ、利下げ促進派が選ばれるのは間違いない。トランプ大統領の意中の人物はベッセント財務長官らしいが、彼はその要請をやんわり断っている。

その断り方が絶妙だ。「もうしばらく閣下のそばにおいて下さい→このまま一緒に仕事がしたい」と。いや~、これは泣ける。さすが、EQ(Emotional Intelligence Quotient))が高い人物である。すなわり、EQとは人の心を読む能力である。インテリに多いIQ(知能指数)が高いだけの人物とは違う。

全般相場の動きはいまひとつだ。中・長期的には日本アビオニクス(6946)が面白い。ミサイルなどのシステム開発を主業務とする。主要納入先は防衛関連の中心企業のNEC(6701)、三菱重工業(7011)だ。スタンド・オフ(ドローン、ミサイル迎撃システム、無人機など)防衛戦略の本命的な存在である。

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