古い出来事だが、トヨタ自動車の講演会の話?

杉村富生 兜町ワールド

さて、トヨタ自動車(7203)に呼ばれた講演会の件だが、有馬温泉の高級ホテルでのトヨタ系の「全国整備業者の西日本大会」である。「好きな話をして下さい」ということだったが、系列が崩れるとともに、自動車業界は時計業界のように電子化、モジュール化が進む、脱純正部品の流れといった内容を述べた、と思う。

脱純正部品では会場の回りに、外国製(非トヨタ自動車グループ)の部品、タイヤなどが並んでいた。最初、それが「おかしい」と感じたのだが、トヨタ自動車の役員は「純正部品にこだわる必要はありません」とあいさつ。会場内にはどよめきが漂った。いま、トヨタ自動車はタイにおいて中国製部品の調達計画を進めている。

EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド)専用に中国製部品を採用、コストを下げる作戦だ。日系の部品会社にも中国製部品の購入を呼びかけている。トランプ関税の影響だけではない。各国ともアメリカ向け輸出が厳しくなっており、その他の国々でのコスト競争が激化している。生き残り戦術である。

恐らく、トヨタ自動車は高級車(ソフトウェア機能を備えた車→SDN)と大衆車の2面作戦を展開するだろう。系列にこだわってはいられない。筆者が経験した30年前の有馬温泉での出来事がよみがえる。そう、歴史は繰り返すというか、経済はずっと動いている。中国製部品の調達はそれが表面化したということか。

株式市場は急騰のあとだけに、徐々に夏枯れ商状に陥るだろうが、そんなに心配していない。FRB9月にQE(量的引き締め)政策を停止し、利下げ開始(0.25%~0.5%)に踏み切るだろう。秋口にかけてローム(6963)、住友ファーマ(4506)、ステムセル研究所(7096)などが一段高になろう。

10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は

毎週火曜日になります。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/5193/93

http://e.gendai.net/

目次