抜群に強い相場である。株式市場には悪材料を乗り越えるエネルギーがある、ということ。日経平均株価は早晩、昨年7月の高値(4万2426円)を奪回するだろう。FRBの利下げ開始が株高を支える。とはいえ、インデックス的にはちょっと、やりすぎではないだろうか。
トランプ大統領はかねてより、パウエルFRB議長を「決断が遅い」と批判しているが、これは当たっていると思う。アメリカ景気は確実に減速している。インフレリスクは乏しい。なにしろ、トランプ関税分を輸出者が値引きによって、実質的に負担しているためだ。反面、輸出国の景気は明らかに悪化する。
まあ、9月には利下げに踏み切るだろう。トヨタ自動車(7203)の場合、1台当たりの対米輸出価格は年初の448万円が現在は354万円(94万円)に値下がりしている。20.9%の値引きである。現状は販売シェアの確保を優先しているようだ。それと同時に、コスト削減のために、あの手、この手の対策を駆使している。
高級車の新型SUV(多目的スポーツ車)の「RAV4」(ソフトウェア定義車軸→自動運転、衝突防止装置などの高機能車であり、実質的に値上げが可能)の投入をはじめ、タイの生産では低コストのEV(電気自動車)、HV(ハイブリッド)生産を目指して中国製の金型、樹脂材料を採用する方針という。
国も企業も変わらざるを得ない。トランプ流の外交、通商政策は従来の国際秩序、ルールが通用しないことを示している。もはや、アメリカは頼れない。しかし、世界最大の市場(16兆ドルの個人消費)が魅力だ。この結果、輸出者は値上げをせず、値下げで対応している。それと同時に、新たなサプライチェーンの構築が不可欠だろう。
8月29日(金曜)に日本証券新聞社主催の株式講演会を開催します。
会場は北海道自治労会館、筆者(杉村富生)の登壇は15:00~16:00です。
演題は『アメリカ1強時代の終えん ! 日本市場が浮上 !』になります。
入場は無料、ぜひご参加を。