雇用統計の下ブレは労働統計局長の責任か?

杉村富生 兜町ワールド

雇用統計とは数字がそんなにブレるものなのか。まあ、ウソには3つの種類がある。ウソ、大ウソ、統計だ、とは通説だが…。そもそも、「雇用統計は信頼性に乏しい」とはいわれていたものの、56月の雇用数の下方修正(公表数字比258000人減)はちょっとひどすぎないか。

トランプ大統領は責任者のマクエンタファー労働統計局長を解任、「数字が改ざんされた」と非難している。しかし、連邦政府の人員が大幅に削減されたために、調査票の回収、および統計作業が大幅に遅れたのではないか。労働統計局長の責任ではない。それに、勝手に数字を書き換えることはできないだろう。

ただ、ミシガン大学消費者信頼感指数、ISM製造業景況感指数が悪かったのは確かだ。パウエルFRB議長は「アメリカ景気は堅調だ。当面、利下げはない」と主張しているが、この判断は間違っている。エリートの学者先生は「民の暮らし」を十分に理解できていない面がある。

トランプ関税については現状では対米輸出者が関税分を値引き、シェアの確保を優先している。インフレがないのであればアメリカ国民は買い急ぎをやめる。むしろ、秋口以降には仮需の反動があろう。当然のことだが、アメリカの個人消費は落ち込み、輸出国の景気は間違いなく悪化する。

こうした状況下、しばらくは各論(銘柄)勝負の投資判断が必要だろう。具体的にはスタンド・オフ防衛作戦の中心的な存在の日本アビオニクス(6946)、旺盛なIT投資を追い風に好業績が続いているSCSK(9719)、スケール的に出遅れが著しいNEC(6701)などに妙味があろう。

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