パウエルFRB議長はしぶとい、というか、意固地である。今回の日米金融政策決定会合はFOMC、日銀政策委員会ともに、金利据え置きだ。5~7月の雇用統計は悪かった。これを受け、先週末のNYダウは542ドル(1.24%)安、ナスダック指数は472ポイント(2.24%)安と急落した。久々の大きな下げである。
この結果、円・ドルは一時、1ドル=150円台後半の円安に振れたあと、その後は一転、147円台の円高だ。アメリカでは利下げムードが大幅に後退し(ただ、景気指標は悪化、9月利下げが9割の確立に上昇)、トランプ関税に伴う駆け込み需要の消滅と相まって、秋口にかけて個人消費が落ち込むだろう。
これは輸出国に波及する。輸出業者は対米輸出の関税分を価格に転嫁せず、逆に値引き販売(シェア確保を優先)を行っている。自動車業界が好例だ。トヨタ自動車(7203)の場合、1台当たりの対米輸出価格は年初の448万円が現在は354万円と、94万円(20.9%安)の値下げになっている。
しかし、先行きアメリカ市場での販売不振に見舞われると、輸出業者は数量減少、価格低下のダブルパンチに直撃される。もちろん、関税分の負担を受け、下請け企業を中心に国内景気は悪化する。特に、企業城下町はひどいことになりそうだ。これは株式市場にとってのネガティブ要因になろう。
いや、だからこそ、パウエルFRB議長の様子見姿勢はトランプ大統領の言葉を借りると、「遅すぎる」と断言できる。この局面は個別物色の投資戦術が有効だ。筆者はNTT(9432)の150円前後、日本アビオニクス(6946)の時価近辺、SCSK(9719)の4600円がらみを強力に推奨している。
8月26日(火曜)に日本証券新聞社主催の株式講演会を開催します。
会場は朝日生命ホール、筆者(杉村富生)の登壇は15:00~16:00です。
演題は『増水時の川底の金貨を拾おうじゃないか!』になります。
入場は無料、ぜひご参加を。