杉村富生 兜町ワールド
まあ、数字を並び立てても「しょうがない」との声はあろう。しかし、日本株が割安なのは疑いの余地がない。みずほフィナンシャルグループ(8411)のPERが11倍ちょっと、PBRは1.08倍と1倍をやっと上回っている。時価総額は11兆円にすぎない。上場企業のうち、600社が何らかの形で同行と関わっている、という。
日本製鉄(5401)はUSスチールを2兆円で買収、1.5兆~2兆円の追加投資、およびUSスチールを通じ、アメリカの鉄鋼メーカーの買収を目論んでいるらしい。数年後には巨大な鉄鋼メーカーが誕生する。
日本製鉄のPBRは0.56倍だが、企業価値(土地の含み、株式の含みを加味)すると、1株純資産(5151円)は実質1万円近くあるだろう。時価総額は3.1兆円にすぎない。いや~、これは“お買い得”である。
トランプ関税に関する日米交渉は決着した。税率は15%だ。まずは、メデタシメデタシだが、油断はできない。日本製鉄はUSスチールの買収(大統領に加え、労働組合が強力に反対)交渉を1年6ヵ月にわたって粘り強く続けた。これは評価できる。
労働組合に対し、「1920年代のアメリカ製造業は偉大だった。パートナーとして、一緒にその“輝き”を取り戻そうではないか」と訴えた、という。この説得は効いた。最後は労働組合側が「ともにやろう」と立ち上がったのだ。これではトランプ大統領は買収を「許可」するしかない。
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