メタ・プラットフォームズ(META)はAI企業の「スケールAI」に143億~150億ドル(約2兆円強)投資する。日本のマーケットは「外部環境が不透明だ」とし、弱気の声が高まっているが、株式には支配証券としての機能があることは忘れてはいけない。肝心な需給は良好である。それに、日本企業は狙われている。
講演会では良く「日本製鉄(5401)の今後はどうですか」との質問を受ける。筆者はメタ・プラットフォームズのAI企業に対する巨額投資を引き合いに、「USスチールの2兆円買収、追加の1.5兆~2兆円の投資はどうかと思う」と答えている。実際、株価はさえない。外資系証券の投資判断引き下げもある。
ただ、株価的に考えると、見直される場面がありそうだ。時価総額は3兆円にすぎない。PBRは0.55倍だ。株価は2850円がらみ。1株純資産は5151円ある。さらに、土地の含み、株式の含みを勘案すると、もっと大きい。これは外資のターゲットになる。日本の地価、株価は「失われた30年」の間に、すっかり縮んでしまっている。
この修正があろう。東京の地価ではそれが始まっている。先日、金沢に行った(28年連続して地元企業の経営者の7月定例会に参加)が、20数年前に「先生、REITをずっと買っているが、東京にビルを買った方が良くはないか」との相談を受けた。「こっちが手っ取り早い」と。
来場者の社長さんだ。それは良策だが、「東京は高いよ」と答えたのだが、彼は東京・八重洲駅前の老朽化ビルを1棟買った。有言実行である。その後、この地域は再開発され、一等地に生まれ変わった。古いビルは昨年建て替えられ、近代的なビルになっている。
10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
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