なぜ、外国人は日本市場に積極参入するのか?

杉村富生 兜町ワールド

2012年11月~20133月の外国人買い(18週連続)はアベノミクスのスタート時である。デフレ克服、日本再生を先取りしたもの。しかし、今回は違う。政治は与党、野党ともに、ポピュリズムに走っている。最悪のバラマキ政策だ。選挙では減税政策が強い。増税、社会資本整備など真っ当な政策は嫌われる。

歴史的には「ポピュリズムが国を滅ぼす」が定説になっている。今回の参院選は消費税減税、廃止の大合唱だ。財源はどうするのか。少子高齢化社会を迎え、社会保障費をどうねん出するのか。そんな議論はほとんど見られない。この国の将来について、激論が欲しい、と思うのは間違っているのだろうか。

なお、今年4月第1週~6月第3週の外国人の買い越し額(現物)は44009億円に達する。201211月~20133月の外国人買いのケースでは13週までをみると、買い越し額は34909億円だった。今回はそれを上回っている。そう、ハイペースである。やはり、企業改革に加え、株主優遇姿勢を評価しているのだろう。

それと、トランプ関税に端を発したデカップリング(経済分断)の動き、これに伴う国際マネーのアメリカの一極集中の是正の流れがあろう。さらに、第4次産業革命の進展である。日本企業には半導体・同素材など、そのメリットを受けるセクターが多い。アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)などが代表例である。

関税交渉は失敗だ。日本はスケール的に「失われた30年」の間にすっかりシュリンク(縮小)してしまった。エヌビディア(NVDA)の時価総額が556兆円なのに対し、アドバンテストは8.2兆円、東京エレクトロンは12.8兆円にすぎない。小さすぎる。持ち合い解消は崩れた。これでは外資に飲み込まれてしまう可能性がある。

10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

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