日本の政治家は年金の構造的な欠陥(確定給付型年金は少子高齢化社会の進展に弱い)が典型例だが、農政についても肝心な点を避けている。所得補償はバラマキだ。食料自給は安全保障の要(かなめ)である。目先のつくろいばかりに注力する。エネルギー政策もそれに近い。原発再稼働問題がそうだ。日本は大丈夫だろうか。
日本製鉄(5401)のUSスチール(X)買収は詳細がはっきりしない。トランプ大統領は「パートナー」と表現しているが、出資比率は?経営権は?いまひとつ不明である。こんなあやふやな状況では141億ドル(2兆円)の投資、最先端技術を給与できるのか。日本製鉄の株主は釈然としないだろう。
トランプ大統領は6月4日に鉄鋼、アルミニウムの関税を25%→50%に引き上げた。通商拡大法232条に基づく措置だが、メチャクチャである。確かに、アメリカの国内産業(素材)は守られるだろう。しかし、原材料を輸入に頼っている企業は耐えられない。このままではアメリカは間違いなく高コスト体質、低生産性の国になる。
ドルの大量発行(それを可能にしているのはドルが基軸通貨であること)が旺盛なアメリカ国民の消費を支えている。しかし、再三指摘しているように、世界はEU、アジアを中心とする。自由貿易圏、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどのBRICS(10カ国+パートナー国12か国)経済圏に分断される。
決済はドル一辺倒ではなくなる。世界はカオスの状態となろう。必要不可欠なのは「防衛」だろう。各国は防衛予算の増額を進めている。「自分の国は自分で守る」しかない。当然のことだ。三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)をはじめ、日本アビオニクス(6946)、放電精密加工研究所(6469)などに注目できる。
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