日本は歴史的には異例の少子高齢化社会が急ピッチで進展している。特に、働き手不足は機械化が難しいサービス業において深刻だ。2024年の人手不足倒産は342件(帝国データバンク)と、過去最高を記録した。人を集めるには賃上げが不可欠である。しかし、待遇改善には雇用者側の体力(収益)が必要になる。
賃上げができず、人手が集まらない事業所は撤退(退場)するしかない。そこに、トランプ関税の追い打ちだ。自動車業界は経営ミスとはいえ、日産自動車(7201)のように内外7工場の閉鎖を計画している企業がある。従業員はもとより、地域経済(企業城下町)のダメージは深刻だろう。
ユニプレス(5949)は自動車用プレスの大手だ。日産自動車向けが7割を占める。輸出比率は66%と高い。2025年3月期は中国工場を中心に、280億円の特別損失(構造改革費用)を計上したが、これは2026年3月期も発生する可能性がある。それと、日産自動車の減産の影響が大きい、と思う。新規顧客の開拓が不可欠である。
もちろん、7月9日の期限までにトランプ関税の日米交渉が決着した場合、自動車関連セクターの株価は急反発する場面があろう。日産自動車について、「もうこれ以上、下がることはない」と買い推奨する専門家がいる。ただ、筆者はそんなリスクを取るのであればトヨタ自動車(7203)に魅力を感じる。
日本は相変わらず、「コメ騒動」に揺れている。7月3日公示の参院選を控え、政治問題化している面がある。井関農機(6310)は田植機、コンバインのほか、コイン式精米機を生産、事業展開を行っている。「うちの近くにもある」という人が多い。株価はジリ高となっている。
6月13日(金曜)に日本証券新聞社主催 長野證券協賛の株式講演会を開催します。
会場は長野市芸術館、筆者(杉村富生)の登壇は15:00~16:00です。
演題は『トランプ独裁政権の暴走に備えよ!』になります。入場は無料、ぜひご参加を。https://www.nsjournal.jp/seminar/20260613nagano/