米中の関税交渉が決着!円安、株価は暴騰!

杉村富生 兜町ワールド

米中の関税交渉が決着(関税率をそれぞれ115%引き下げ、上乗せ分24%を90日間停止、基本税率10%とする)、12日のアメリカ市場は暴騰した。NYダウは1160ドル(2.81%)高、ナスダック指数は779ポイント(4.35%)高だ。SOX(半導体株)指数は7.04%の急騰、VIX(恐怖)指数は16.26%の急落である。

ドルは買われ、為替は1ドル=148円台の円安に振れている。ただし、アメリカ側のEV(電気自動車)、鉄鋼、アルミニウムなどの個別関税(25%)、フェンタニル関税(25%)は残る。とはいえ、米中の泥沼の関税引き上げ合戦が終わったことは間違いない。これによって、中国の今年のGDP成長率は上ブレするだろう。

これを受け、13日の東京市場は大幅高だ。ウクライナとロシアの停戦交渉の進展?も好感されている。ちなみに、中国関連株としてはコマツ(6301)、ピジョン(7956)、伊藤忠商事(8001)をはじめ、ユニ・チャーム(8113)、イオン(8267)、ファナック(6954)、ソニーグループ(6758)などがある。

悪評のトランプ関税だが、これはディール(取引)材料だ。筆者が再三指摘している通りである。交渉人は百戦錬磨のスコット・ベッセント財務長官だ。落としどころは十分に承知しているだろう。実際、イギリスとの合意に続いて、中国との交渉が決着した。この効果は大きい。不安心理が解消される。

ベッセント財務長官はマーケット重視派である。トランプ大統領の信頼が厚い(国務長官並みの権限)。合意が確実なイギリス、マーケットに影響を与える中国との交渉を優先したのだろう。さあ、次は日本の出番になる。とはいえ、交渉一番手だったが、優先順位が切り下がった点は「どうしたのか」と思う。

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