いや~、ひどい。アメリカ市場はメチャクチャである。ドナルド・トランプ大統領はFRBに対する批判を強めている。パウエルFRB議長に対し、「利下げを急げ、そうしないと、クビだ」と“脅し”を繰り返している。中央銀行の独立性などへったくれもない。これでは通貨の信任が失われる。基軸通貨でなければドル暴落だろう。
国際マネーは「脱アメリカ」の姿勢が顕著である。特に、ドル債が売られている。10年物国債利回りは4.417%に上昇、為替は1ドル=140円台の円高だ。反面、金価格は高騰、史上最高値である。これは不安心理の現れだろう。
ちなみに、1円の円高は通常、日経平均株価を300~400円押し下げる。ただ、東京市場は底堅い。NYダウは971ドル(2.48%)安だったのに、日経平均株価はほとんど下げていない。円高・株高になりつつある。
改めて述べるまでもない。アメリカは株式資本主義の国だ。国民の多くが株式を保有している。株価暴落には耐えられない。共和党系の大口献金舎(支援)の間には「こんな混乱を招くためにトランプ氏を支持してきたわけではない」とのタメ息がもれ始めている。もちろん、支持率(42%)は急低下、不支持率を下回っている。
このため、過激な政策は徐々に修正されるだろう。関税がそうだ。この局面はとりあえず、関税&円高のダメージを受けづらい住友ファーマ(4506)、サンバイオ(4592)、Heartseed(219A)、セルシード(7776)、ブライトパス・バイオ(4594)など再生医療関連のバイオベンチャーに妙味があろう。
2024年10月29日(火)に『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まっています。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
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