だからこそ、「下げの途中で買うな」とか、「落ちる短剣はつかむな」という。しかし、理不尽に売り込まれると、今度は打たれ強くなる。ここからがファンダメンタルズ・アプローチの出番だろう。企業業績、テーマ(世相)性の解析に入る。もちろん、需給のチェックが不可欠である。
東京電力ホールディングス(9501)、富士急行(9010)はロングランに「買える」と講演会などでは主張している。投資家の皆さんの反応は良い。株価は1年間に半値、3分の1になった。株価が下げるにはそれなりの理由がある。しかし、売り切れば今度は一転し、戻りを試す展開となる。ジリ高に転じる。
多くの投資家が企業業績などファンダメンタルズばかり気にしている。しかし、指摘しているように、株価を決めるのは価値だけではない。需給と人気の影響が大きい。ABEJA(5574)、note(5243)の急騰は人気先行だ。AI(人工知能)関連の人気は根強いものの、目先的には株価のピークを越えつつある。
株価的にはAI(人工知能)関連セクターは当面、買いづらい展開となろう。懸念材料はDeepSeekショックだけではない。1月27日の大陰線を受け、チャートが崩れてしまった。しばらくは売り戻りの値動きとなる。もちろん、DeepSeekにはさまざまな問題がある。しかし、それと株価は別だ。急騰の反動もあろう。
フジクラ(5803)は2024年1月4日の1075.5円の安値が今年1月23日には7482円の高値まで買われた。上場来高値である。実に、7倍だ。これが相場といえば相場だが、フジクラの株価をここまで押し上げたのはAI、データセンター人気に加え、実需筋の猛烈な買い需要(好需給)だろう。
10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
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