株式投資では“雑学”が意外に役に立つときがある!(上)

杉村富生 兜町ワールド

筆者は講演会の講師登壇を主なビジネスにしている。株式講演会などの講師を本格的に始めたのは26歳のときだ。以来、約50年になる。まあ、長くやったからといって、どうってことはないが…。年間100150回のペースである。北海道、沖縄など全国各地、どこでも行った。主催地(会場)は選択しない、という主義を貫いている。

会場は高級ホテルがあれば中学校の廃校(教室)、公民館などもあった。主催者は証券、銀行、企業のIR活動が中心だが、強烈な思い出として残っているのはYKK、いすゞ自動車(7202:藤沢工場の労働組合→藤沢市役所経由)、トヨタ自動車(7203)の整備工場関係者の会合である。

ずっと昔の話だ。YKKはバブル崩壊の10年ほどあとのこと。会社幹部を集めた会合に呼ばれた。創業者が健在だった頃だ。「バブルについて語って欲しい」と。いや~、これは難問だったが、バブルのバブルたるゆえんの現象に関し、しゃべりまくった。思い返すと恥ずかしい。何のために筆者を招いたのか。

返礼のあいさつでそれが分かった。「当社はバブルに染まらなかったし、今後も踊ることは絶対にありません」と。う~ん、反面教師の役目か。そのYKKは経営戦略では「二兎を追う者は一兎をも得ず」とし、高価格帯のファスナーと同時に、ファストファッション向けのボリュームゾーンのファスナーを手掛けている。

今後、輸出関連企業は生き残りをかけた闘いが始まる。日本製鉄(5401)はアメリカに飛び込んだ。アドソル日進(3837)は電力・ガス業界に強いソフト会社である。トランプ関税の影響を受けづらい。能美防災(6744)は猛暑の救世主、ミスト製造装置を手掛けている。「ドライミスト」は同社の登録商標である。

10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。

コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は

毎週火曜日になります。

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