さて、今回のAI相場はどうか。主軸株は短期的に5~9倍になった。しかし、ひと握りの銘柄だけだ。ITバブルのときはうさん臭いIPO銘柄が1000万円とか、2000万円(1株)の初値をつけていた。そんな銘柄は現在、みんな消えている。ネット関連株は軒並み高となり、銀座では漁師さんが「ネット(網)関連」として、もてたという。
これに対し、AI相場は第4次産業革命の真っただ中にある。PER的にはせいぜい30~50倍だ。確かに、急騰してきただけに、目先は調整が必要だろう。しかし、AI相場が終わったとは判断していない。とりあえず、12月には小戻しに転じると考えている。したがって、この局面は突っ込み買いとなる。
まあ、筆者は株式市場に50年以上、身を置いてきた。それだけに、1980年代の地価・株価の暴騰(バブル)、1998~2000年のIT(インターネット)フィーバーは経験している。熱狂、そして崩壊の両方である。今回のAIバブルは?と良く聞かれるが、そもそもAIバブルなど存在しない。誰も浮かれ、踊ってなどしていないではないか。
1989年12月29日に、日経平均株価が3万915円の当時の史上最高値をつけた局面ではNYダウ(2753ドル)の14倍の水準になっていた。行きすぎである。その年の暮れの大手証券の忘年会では「参加者1人に1台のハイヤー」がついた。その車を使って、1次会、2次会、3次会に繰り出したものだ。大名宴会である。
現在は考えられない話だ。いまじゃ、ゴルフの接待どころか、飲み会もない。自粛、自粛、また自粛である。数年前、お客さんと食事をするのに「1人何千円まで」と制限がかかっていたが、今はどうなっているのだろうか。忘年会の費用は自分で捻出するしかない。
2024年10月29日(火)から『日刊ゲンダイ』(夕刊紙)に連載が始まりました。
コラム 経済評論家 杉村富生 「新NISAで買っていい?企業診断」の掲載は
毎週火曜日になります。

